心霊雑談

 

 有希の恐怖体験 

私は、若い頃は、もう散々な目に遭っていました。
勿論、霊に関してです。
見たくも無いものが見えてしまったり、襲われたりと、全てを明かせば、軽く本の2〜3冊は書けるでしょう。(苦笑)
そんな恐怖体験の中の1つを今回はお話したいと思います。

当時18歳だった私は、六畳一間、風呂無し、トイレは共同と言う、誠にハングリー(?)な場所に住んでいました。
青春真っ盛り、な筈ですが、当時の私は毎日仕事に追われ、遊ぶ時間は睡眠時間を削らなければならないほどでした。

・・・或る夜のこと。
疲れ切った私は、布団も敷かずに、うたた寝をしていました。
どれぐらい眠っていたかはわかりませんが、異様な音に目を覚ましたのです。
それは狭い部屋の中を、バタバタと走り回る、人間の足音の様でした。
私は、目こそ開いては居ましたが、金縛りに遭い、身体は全く動きませんでした。
特におかしな態勢で寝ていた訳ではありません。
普通に横向きになって寝ていただけです。
異様な足音に、私はただ怯えながら、目をキョロキョロさせるしかありませんでした。
恐ろしくて、目を閉じる事すら出来なかったのを今でもハッキリ覚えています。
しばらくその足音が響き続けた後、今度は、地の底から湧いて来るような呻き声が聞こえて来ました。

「うおおおおおおおおおおおお! うおおおおおおおおおお!」

身体は全く動かせないまま、ただ目だけを見開いて、その声を聞いていました。
この世のものとは思えない声でした。
金縛りは続き、身体は全く動きません。 指先1つも動かせない状態でした。
ただ出来る事は、心の中でひたすら念仏を唱え、コレが収まる事を願うしか出来ませんでした。
そして呻き声は、更にトーンを変えながら激しくなっていきます。
私は内心、「もうダメだ・・・」、と思っていました。
このまま自分は、異界へと連れ去られてしまうのでは無いだろうかと感じました。
するとその時、横向きになった私の顔の横に、ドサッと音を立てて、何かが倒れて来ました。
すぐに視線をそちらに向けると・・・私と同じように、横向きになった、薄気味悪い黒色の肌と、乱れた黒髪、
そして、血塗れの女の人が、呻きながら、私を睨みつけていたのです。
金縛りに遭い、声すらも出ない私は、その女性から視線を外す事すら出来ずに、ただ荒れる呼吸に身を任せ、
「消えてくれ!」・・・と、心で念じ続けました。
すると、その女性は、起き上ったかのように、私の視線から消えて無くなり、足音も呻き声も、消えて行きました。

同時に金縛りから解放された私は、すぐさま起き上り、汗だくになった状態のまま、管理人のおばさんの所へ駆け込みました。
管理人のおばさんとは、普段から親しかったので、今起こった出来事を、息も絶え絶え話しました。
すると、おばさんは、驚くでも無く、疑うでも無く、その話を聞いて、「またか。」、と言った表情でした。

それから1カ月後、私は引っ越しを決め、その部屋を出て行く事にしました。

・・・心霊現象に遭遇した時、それが夢なのか、現実なのか定かでは無いと言う場合がよくありますが、
私が体験したあの出来事は、夢ではありませんでした。
夢であって欲しい、と心で念じてはいましたが、夢と現実の曖昧さも無く、完全に目が覚めていた状態での出来事でした。

金縛りは、科学的にも解明された、と、とある記事を目にしましたが、確かに科学的に解明されたものは確かでしょう。
しかし、現実に、心霊現象の信号となる金縛りと言う物も、これまた存在すると言うのが現実です。
私はこれまでに、金縛りを伴った怪奇現象や、その他、諸々の心霊現象に見舞われましたが、
余り、世間様に公表できるものと言う話は少ないです。
それは、私が話したり、こうしたHPに書き込む事によって、霊障を引き起こす場合があるからです。
今回のアパートの話は、私がお話し出来る、恐怖体験の貴重な(?)ごく一部のお話です。

そして私がこのような目に遭ったアパートは、今も大阪府内某所に、ひっそりと佇んでいます・・・。